第1章

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「俺は・・・義賊になりたいんです。」 「ほう・・・義賊。」 受付の老紳士は、口の中で小さく反芻した。 その口元が、かすかに笑みの形になる。 「はい、もちろん当店では、義賊のスキルも伝授いたします。ですが、もっとも困難な賊でございます。それでも、よろしゅうございますか。」 いわく。 すべての賊には、武器や己の肉体を使った格闘術のスキルも伝授される。 盗みのスキルは当然のこと。 海賊ならば、そこに船の知識や操縦術も。 山賊ならば、山中で生き抜くサバイバル術も。 空賊ならば、飛行挺の操縦術も。 盗賊ならば、個人邸宅から王室への侵入の仕方から逃走に至るまでの立案の仕方も。 その中で、義賊は。 最も制約があり、精神力が必要な、賊の中でもそれを全うするの一番困難な職だった。
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