episode 1

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それからというもの。 元カレの事など微塵も思い出す余裕も暇もなく。 あっという間にその日はやって来た。 朝から心臓は早鐘のように打ち続く。 皆に返す挨拶は、うまく笑顔を載せられているかもわからなかった。 特別な何かがあるわけでもない。 ただ私が一方的に彼のことが苦手なだけ。 私の全てを粉砕した人だから。 けれどまだ、異動者が彼だと決まったわけではない。 あの後も何も報告を受けることもなく今日を迎えたのだから。 ひょっとしたら異動の話自体、本当に噂話だったのかもしれないし。 僅かな期待を胸に、フロアへと入ってきたばかりの部長へと視線を投げた。 部長はカバンから必要なものを取り出し机の中に仕舞うと、 「ちょっと集まってくれ」 と、声を張り上げた。
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