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「…うっわ、イイ男…」
思わず声に出てしまったのであろう沙耶ちゃんの呟きで我に返った私はパッと俯いた。
「結菜…やっぱりアレ…」
「しっ！」
わかってる。
わかってるのよ楓。
けれど今は私の名前を呼ばないで。
どうか私と空気の同化の邪魔をしないでっ。
「大阪支店から取り返してきた柴垣義人くんだ。大阪支店のナンバーワンで即戦力だから、みんな宜しく頼むよ。じゃ、柴垣くんからも一言」
「はい」
一歩前に出たその男をチラリと盗み見すると息が詰まった。
ピカピカに磨きあげられた靴。
程よく身体にフィットしたストライプの入った濃紺のスーツ。
ネクタイの柄は上品で、いいアクセントになっている。
その甘くて爽やかな容姿。
自分の魅力を理解し最大限に引き出すことの出来ている彼。
「柴垣義人です。この課のナンバーワンになりに来ました。宜しくお願いします。」
それが柴垣義人という男なのだ。
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