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「ほら。」
「え?」
「土産。ちゃっかりしてんな」
「ちがっ!催促の手じゃないでしょ!?」
咄嗟に出た声は思ったよりも随分と大きくて、私は慌てて平静を取り繕う。
高嶺の花の『三崎結菜』を、こんな事で崩すなんてことできない。
いつでも冷静で優しくて的確で迅速で笑顔溢れる女性。
そう思われているのだから。
「やだ柴垣くんたら。でもお土産ありがとう。みんなでいただきます」
いつもの笑顔を浮かべると、
「柴垣さんからお土産いただきましたぁ。」
そう言いながら皆に見せ『お茶いれてきますね』と言って給湯室へと避難した。
暫くすると『結菜さん』と沙耶ちゃんが顔を覗かせる。
「手伝いに来ました。」
「ありがとう。もうすぐ入れ終わるから運んでもらおうかな」
お土産の和菓子に似合う様に、美味しい日本茶をそれぞれのマグに注ぐ。
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