episode 1

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「ほら。」 「え?」 「土産。ちゃっかりしてんな」 「ちがっ!催促の手じゃないでしょ!?」 咄嗟に出た声は思ったよりも随分と大きくて、私は慌てて平静を取り繕う。 高嶺の花の『三崎結菜』を、こんな事で崩すなんてことできない。 いつでも冷静で優しくて的確で迅速で笑顔溢れる女性。 そう思われているのだから。 「やだ柴垣くんたら。でもお土産ありがとう。みんなでいただきます」 いつもの笑顔を浮かべると、 「柴垣さんからお土産いただきましたぁ。」 そう言いながら皆に見せ『お茶いれてきますね』と言って給湯室へと避難した。 暫くすると『結菜さん』と沙耶ちゃんが顔を覗かせる。 「手伝いに来ました。」 「ありがとう。もうすぐ入れ終わるから運んでもらおうかな」 お土産の和菓子に似合う様に、美味しい日本茶をそれぞれのマグに注ぐ。
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