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確かに自分の言葉足らずに後悔もているし、そのくせに何も伝えられてもないけれど。
「お前…」
はぁぁっと長い溜め息をつきながら俺は三崎を怪訝な顔で見つめた。
「本気で言ってるわけ?」
こんなに鈍い人間なんているんだろうか。
「そんな怖い顔しないで。ちゃんと聞いておかないと私、2番目でいいなんて、恐ろしくて言えないし……」
2番目だと?
「へぇ……。どの口がそんなこと言ってんだろうな?あ、この口か」
言うが早いか、俺は三崎の後頭部を引き寄せると、強引にキスをした。
「……むっ……ちょ……待ってっ……」
この期に及んで本気の抵抗を見せる三崎は、俺のキスから逃げてしまった。
渋々三崎を閉じ込めていた腕を緩めると溜め息が漏れた。
「本当に信じられねぇ。俺と竹下が付き合ってるなんて、ただの噂話だろうが」
「噂じゃないわ。本人がそう言ってたんだし」
「その本人って竹下だけだろ。俺は一言も口を開いた覚えはないぞ」
そもそも三崎と竹下の間であんなことが起きたというのに、どうして俺が全てを承知で竹下と付き合うなんて発想ができるのだろう。
私欲のために仕事を軽んじた竹下を、俺が好きになると思われるだなんて。
軽くショックだ……。
「だいたいな、それは俺のセリフなんだよ。お前こそ津田さんと付き合ってんだろーが。今日だって会社帰りに泊まりに行くとか…。お前どれだけ自分のこと棚に上げてんだっ」
「………え?……なに……?」
そうだ。
自分で言って思い出すなんてバカみたいだが、三崎はもう津田さんと付き合っているんだった。
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