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自分に向けられる視線が変わるのが怖くて、いつまでも人に対してギリギリのところで線を引いていた。
なのに私は自分を出せないのは、相手のせいじゃないのかって思ってた。
私に理想やプレッシャーを与えすぎるからだって。
でも、そんなことあるはずなかったんだ。
全ては私が片意地を張ってたせい。
私自身が心を開放しないと、誰からも本当のことは理解してもらえないんだ。
そんな簡単なことに気が付くのに、一体どれだけの無駄な時間を費やしたんだろう。
「とりあえず俺にはバレてんだから、少しずつ俺で練習すればいいんじゃねぇの?」
「でも…」
「遠慮はいらねぇよ。俺もするつもりねぇし」
「え?」
最後らへんが小声で聞こえなくて聞き返したけれど、柴垣くんはもう教えてはくれなかった。
「さ、もう残業すんのも面倒くせぇし、帰るか」
柴垣くんはそう言ってさっさと机を片付けだした。
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