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そんな出来すぎた話なんてあるもんか。
自分にそう言い聞かせてみても、ひょっとして同じマンションだったら…なんて思ったりしている。
それを期待して胸を高鳴らせている自分が信じられない。
つい数週間前までは一番苦手な人だったのに。
いつの間にかこんなにもポジションチェンジしてしまっているなんて。
はやる気持ちを抑えつつ角を曲がると…。
「俺んち、アレ」
柴垣くんの指差す先は、私の住んでいるマンション…。
…の一つ隣のマンションだった。
「私のうちはこっちだよ。柴垣くんとはお隣りさんだね」
「え、マジかよ。奇遇だな」
ははっと笑っている柴垣くんに合わせて笑みを漏らすけれど、内心は信じられないくらい残念がっていた。
やっぱり私の心は自分でも想像できないほどにおかしくなっているらしい。
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