第1章 美しき男

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第1章 美しき男

彼は陽を背にしてこちらを向いて座っており、机の上に広げた本を一心に読んでいるようだった。 濃緑色のセーターを着た男は肩幅が広く、西陽のせいか髪は少し茶褐色に見え、肌は透き通るように白かった。 男が顔を上げてこちらを見たとたんに、心臓がどきりと音を立てたのが自分の耳に聴こえた。
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