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もう帰ろうと、浩一が背後の 鴨永美代子に言おうとした時だった。
バチンという金属音と共に、
今絵津浩一は自分の右足に激痛を覚えた。
ゆっくりと足元を見る。そこには信じられない光景を目にした。
浩一の足に鉄製の顎のようなものが噛み付いている。
その顎にはサメを連想させるような、鋭い歯が並んでいる。
その歯が彼の右足に深く食い込み、
おびただしい血を流させていた。
それはトラバサミと呼ばれる罠の一種だった。
一瞬の間の後に、激痛と恐怖に今絵津浩一は悲鳴を上げた。
後ろにいた 鴨永美代子も驚きの余り声が出ないでいる。
彼女はもがき苦しみながらトラバサミをはずそうとしている
浩一の足元に回りこんだ。
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