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「もういい!オレがやる!」
苛立った今絵津浩一は、つい彼女を突き飛ばした。
鴨永美代子は小さな悲鳴を上げて、地面に転んだ。
その際、手をついた彼女の腕に何かが触れた。
何か細い糸のようなもの。
それと同時に、カランという乾いた音が、
どこからともなく聞こえた。
「今の音、何だ?」
今絵津浩一もそれに気付いて、
一瞬、トラバサミから手が離れた。
次の瞬間、何かが風を切るような音がした。
何かが飛んでくる――
そう直感した彼女は、とっさに頭を抱えた。
そして何かが刺さるような、鈍い音が近くで聞こえた。
近く――前からだ。今絵津浩一のいる場所からだ。
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