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以上が、金澤さんの笑顔の裏にあった思惑を、もしも僕が誰かに説明するとしたら、そのために必要だろう前置きになる。
それにしても、どうして僕は気づかなかったんだろう? こうやって思い返してみれば、金澤さんの思惑は透けて見えるようじゃないか。……いや、気づけるはずないか。
今思い返したことは、僕の日常の一部。金澤さんの思惑をすでに知っている今の僕ならば、日常の中からその一部を抜きだして考えることは容易だけれど、実際にその日常を送っていた当時の僕にはそれは無理だ。だって、そうする意味がないんだから。
だから、気づけるはずがなかったのだ。だから、僕の今の状況は仕方がない。だから、だから、だから、……はあっ(ため息)。
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