どちらに転んでも悪くない条件

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 お尻のあたりに固いものが当たり、袴の中に風間の手が入り込んでいた。撫でる様に触る指先が稔のモノも目覚めさせ始める。 「せ、先輩……止めてください」 「勿論。神聖な場だからね、わかってる」  クスクス背後に笑い声が聞こえた。稔は動揺したまま振り向けず、弓を片付けにその場から小走りに立ち去る。 「稔~、お前の中に射ることが出来るのは俺の矢だけだからな」  大きな声でそう言い放つ風間を真っ赤な顔で睨みつけた。 「や、止めてください。わかりましたから……もう帰りますよ」 「負けたら奴隷だからな。そうなったらヤバいかもよ?」  からかい半分にそう言いつつ、優しい笑顔を向けている。稔は何としてでも勝たなくては……そう決意した。 「大丈夫です。絶対に恋人にしてもらいますから」  おふざけが過ぎた居残り特訓に、初戦においての緊張感が解れた気がした。的に当たらずに落ち込んでいた稔を笑顔にしたかった風間の行動の一つ。  もうすぐ本番。その時にはきっともっと喜ぶ顔が見られると思う。それを楽しみにしながら、その後も……。 「稔、頑張ろうな」 「はい……」  稔は「ありがとう」と胸の中で呟いた。 〈 完 〉
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