0人が本棚に入れています
本棚に追加
教室の窓の外は、早くも梅雨の季節が来たのか、シトシトと雨が降り続けている。
(雨の日って、どうしてこう眠くなるんだろう‥。)
そんなことを考えながら、ボーと外を眺めていた。
「‥では今年の応援合戦のテーマは、6月にちなみまして‥『花嫁』で行きたいと思います!」
パチ‥パチ‥パチ‥
教室中に響く拍手の音に、わたしは慌てて前を向き直る。
“6月の花嫁”この月に結婚をする花嫁さんは幸福になれる‥か‥。
「‥次に、応援合戦出場選手の選抜に入ります。今から配る紙に名前を書いてもらったうえくじ引きで決定をしたいと思います。」
委員長の指示の中、一番前の席より紙が配られ始めた。
(あ‥大変‥。)
わたしは自分の隣の席にいる男の子を慌ててつっつきながら、耳元に話しかける。
「克己くん‥克己くん‥。起きて‥。」
「ん‥あぁ‥?」
ちょうどその時、前の席から白紙の紙が回ってきた。
「‥?」
「後ろに回すんだよ‥。」
「ああ‥。」
ハハ‥まだ眠そうだなぁ~克己くん。
視点が合ってないように‥あからさまにボーとした顔で、克己くんは回ってきた紙を眺めている。
そんな彼とは裏腹に、わたしはドキドキしながら紙を見つめる。
“6月の花嫁”は、やっぱり女の子の憧れだよね‥。選ばれたら素敵だなぁ。
・
・
「厳選なるくじ引きの結果、応援合戦の幸福な花嫁さんは“美月神奈”さんに決定しました!」
「えぇっ!?」
『わああぁ‥!』
《パチ‥パチ‥パチ‥パチ‥‥》
(うそ‥ホントに!?)
なれたらいいなぁ‥とは思ってたけど、まさか本当に選ばれるなんて‥。ど‥どうしよう‥。
クラス中の視線が向けられる中、思わず顔が赤くなる。隣の席の克己くんまでも驚いたような表情でわたしを見ていた。
(か‥克己くんまで‥、やだな‥ますます恥ずかしくなってきちゃったよ‥。)
最初のコメントを投稿しよう!