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「い‥いきなり目の前にいるな‥。心臓に悪い‥。」
「そんなに驚かなくても‥。あんまり気持ちよさそうに寝てたからつい‥」
「つい‥なんだ?」
かわいいなぁ~と思って‥。なんて言えないけど。
「ちょっと見てただけ。」
「たくっ‥。はぁ‥。」
呆れたように、克己くんは小さくため息を出した。
克己くんてば‥そんなに顔赤くして驚くことかな?
そんなことを思いながら、まだソワソワしている克己くんを見つめる。
「それで?何か用か?」
「ううん。傘持ってくるの忘れちゃったから、雨宿りしようと思って来ただけだよ。克己くんも傘忘れちゃったの?」
「いや‥、オレは‥眠かったから‥。」
寝るためだけに、図書室に来たんだ‥。
「アハハ‥克己くんてば、何か眠り姫みたいだね。」
「眠り姫て‥おまえな‥。」
「だって克己くん、気づくといつも寝てるから。」
ピッタリな言い方だと思うな、克己くんに。フフ‥。
「そうかよ‥。あぁ‥もうこんな時間か‥。おまえもそろそろ帰った方がいいんじゃないのか?」
わたしのツッコミを軽く受け流し、話しを逸らすように克己くんが言う。
「えっ!帰っちゃうの?克己くん。」
「帰らないのか?」
う‥。だって‥まだ昇降口にいるかも‥。
「どうした?行かないのか?」
「う‥ううん。行く‥。」
もう‥大丈夫かな‥。雨も小降りになったみたいだし‥大丈夫なことを祈ろう‥。
心の中でそう決心して、わたしは克己くんの後に着いていく。
もうすぐ昇降口という所で、克己くんがいきなり立ち止まった。
「なんだ?騒がしいな‥。」
「うっ!?」
「ん?‥っ!?」
わたしは思わず克己くんの腕にしがみつき、彼の大きな体に身を隠した。
「な‥なんだ‥いきなり?」
明らかに動揺しているように、顔を赤くしながら克己くんが言う。
「‥お願い克己くん。正門出るまででいいから‥。」
「あ‥ああ‥。」
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