第1章

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ひとによく言われること。 「お前は、幸せ者だ」 「君はいいダンナさんだ」 「しっかりものだね」 「理想だよ」 そんな僕は今年で28歳になった。 僕は、熊本の田舎で生まれ、18歳まで地元で育った。 18歳の春、田舎から、熊本市内へ専門学校へ通うために、一人暮らし。 19歳のとき、専門学校で彼女と出逢い。 20歳で、直ぐに就職先も決まった。 23歳、入社3年満たない時、新プロジェクトメンバーに抜選。見事に成功。 25歳で彼女と結婚。夫婦となる。 26歳で第一子の女の子誕生。 27歳で一軒家を購入。 誰もが羨む人生を歩み続けてきた。それをするために、頑張ってきた。 だけど、 (平成28)2016年4月14日21時26分熊本地震発生。 誰も予想だにしなかっただろう。 人生最大の恐怖と絶望を体験した。もう、一生あの時のことは忘れないだろう。 幸い、家族も新築の家も何とか無事で、職場も何とか生きながらえて、仕事を無くさずに済んだ。 きっと、住む家も仕事も無くした人に比べたら、何倍も幸せだっただろう。 それから5ヶ月・・・ 夏の残暑の残る9月の下旬、僕は壊れかけていた。 理不尽な仕事に追われ、妻のため、子供のため、家事育児に生を尽くす。 仕事のストレス。 家族を守らなきゃいけない責任 育児のストレス。 地震のストレス。 他方向からのストレスが相重なった。 いつからだろう、こんなにも自分の感情をおし殺すようになったのは? いつからだろう?人に対して素直に信用出来なくなったのは? いつからだろう?僕という人間が生まれたのは? あぁ、そうだ、 きっとあの時から、今の僕は生まれたんだ。
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