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思わず口が歪む。心にも無いことを…。
それは大臣や貴族にも会うたび、すれ違うたびに言われた。
だがその目には嫉妬、憎悪がちらついていた。
女たちは[元帥]という肩書きに目を光らせ、興味を引かせようと躍起になっていた。
今日は自分の昇進の儀が終わったばかりで余計に賑わっていた。その分ねばつく空気も多くなる。
そんな空気や視線に耐えきれず逃げるように人目につかない通路を選び、自室がある塔へ向かっていたが…
フィ「…そんな対したことはしていない。
俺は国のためにただ進むだけだ。」
少女の目にはきっと肩書きが
歩いているように見えるのだろう。
何故かそんな少女を見たくなかった。
ネ「その対したことが」
凛としたその声にいつの間にか下がっていた視線を少女に向けた。視線が落ちると共に刀も下がっていたのだろう。少女はいつの間にか自分と対峙していて、
ネ「どのくらいの事かは存じ上げませんが」
その瞳は真っ直ぐこちらを捉え一歩ずつ、
―その瞳から逸らせず
ネ「少なくとも
陰険なジジイどもや身の程知らずのあばずれより立派なお方で」
こちらへ歩み寄り、
―動くことができず
フィ「こんなところでくすぶる
アイン・フィーネル様ではないはずです」
ぱあと太陽がそこにあるかのように少女は笑った。
―そしてその笑顔に捕らわれた。
―それが後の[巫女]と呼ばれるネルファと[元帥]になったばかりのフィーネルの出逢い―
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