ものがたり、いいつたえ

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ものがたり、いいつたえ

     ――むかしむかし、 ずっと、とおいむかしのはなし。 くにをまもり、はんえいさせた[みこ]と くににちゅうせいをちかい、 みなからしたわれていた[げんすい]がいた。   ふたりはしょうらいをやくそくしていた。 ふたりはしあわせだった。 ふたりはしんじていた。 このしあわせがつづくと―。 だが、せかいはふたりにやさしくはなかった。 しっとしたわこうどがふたりにのろいをかけた。 みらいえいごう、 ふたりがむすばれることがないのろいを。 やがてせんそうがはじまり、 ふたりははなればなれになった。 [みこ]はくにをねだやさないため、 いのちをつかってくにをまもった。 [げんすい]はせんじょうをかけててきを きりつづけ、さいごにはそのいのちをちらせた―。 やくそくをはたすため ふたたびふたりはめぐりあった。 だが、うけたのろいが ふたりをはばみ、ふたりが むすばれることはかなわなかった。 まためぐりあい、そしてむすばれない、 いくどもくりかえし ふたりのたましいは、やがてまっくろにそまり、 せかいをうらむようになった―。 ―いつかたがいがむすばれたとき  かならずやわれらをひきさいた  このせかいをほろぼそうぞ― このものがたりにおわりなどない このものがたりには けっしてしあわせはおとずれない (絵本~巫女と元帥の物語より~)
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