夢か現実か

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中に入ると、二十代から三十代くらいの男が一人カウンター奥から出て来た。 「いらっしゃいませ。」 男は僕の方を見ながらそう言った。 とても綺麗な緑色の瞳だった。 「どうぞ、こちらにお座りください。」 そう言って男は僕をカウンターに案内した。 「初めてのお客様でしょうか?」 「はい、初めて来ました。」 「そうですか。では、ここがどういうお店か知らずに?」 「いいえ。ここは夢を売ってくれる店なんですよね?」 「ああ!知っておられましたか。その通りでございます。」 「どんな夢でも売ってくれるのか?」 「ええ、どんな夢でもお売りいたします。 ですが、ここは喫茶店でございます。まずは当店自慢のコーヒーでもいかがですか? 夢のお話はコーヒーを飲みながらでも。」 「そうしたいけど、僕は高校生なので、高いコーヒーは飲めませんよ?」 「ご安心を。当店は夢以外の全ての料金はお客様に決めていただく決まりとなっております。」 「ああ。それなら安心だ。 なら、コーヒーを一杯お願いします。」 「かしこまりました。」
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