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プロローグ 本当の私
ぼうっとしてるねとよく言われる。ぼうっとしてるとき何を考えてるの、ともよく言われる。ぼうっとしてるときはぼうっとしてるのであって、何も考えていないから何を考えてるのと言われても正直困る。
強いて言えば夢を見ている。白昼夢というのだろうか。夢の世界で私は本当の私になる。あるときは王様に、またあるときは旅人に、またまたあるときは魔法使いになって空を飛んでいる。
夢と現実の境目があいまいになっていた。というより、私が私でいられるのは夢の世界の方だった。私は現実の世界が嫌いだった。だから、家でも学校でも現実世界ではいつもぼうっとしていた。
中学校の卒業文集のクラスのページ。
将来、○○になってそうな人は誰?、とクラス全員に調査した結果が掲載されている。
ちなみに私は、将来引きこもりになってそうな人の圧倒的な第一位に輝いた。
それは違うと思った。私は引きこもりにならない自信があった。現実世界でどんな嫌なことがあっても、夢の世界があれば乗り越えていけるから。実際、私は中学では無遅刻無欠席の皆勤だった。まだ入学したばかりだけど、高校でも今のところ皆勤だ。
でも、もうダメかもしれない。私の夢の世界はもう――
消えてしまったのだから。
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