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朝、教室前の廊下で一矢に呼び止められた。
「君に命まで救われるなんて思わなかった」
「気にしなくていいよ。友達なんだから当然でしょ」
視線を感じて振り返ると、クラス委員長の東山慶子が何か言いたげな顔をしている。最近一矢から離れていったリア充仲間の一人だ。
「小島さんって一矢に惚れてもてあそばれて泣いてたんじゃなかったっけ?」
何の話? 目が点になってしまった。
「逆。おれが小島さんに惚れて、友達ならいいと言われて友達になってもらったんだ」
「そうなの?」
慶子が驚いて私の顔を見た。そんなに驚くことだろうか?
「話してみると意外と気が合って。でも、彼氏とか恋愛とかまだよく分からないから友達ならって……」
「なるほど」
慶子が何に納得したか分からないが、それからまもなく一矢は離れていった仲間の全員と仲直りできた。
仲間たちと仲直りしても、一矢はなるべく私といたがった。
「そういえば、夢の中で約束したから有栖川さんとも友達になった方がいいのかな?」
「ダメ!」
理由を聞かれたけど答えなかった。ヤキモチだと知られたくなかった。ただの友達なのになんでヤキモチを焼いてしまうのか?
自分でもさっぱり分からなかった――
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