プロローグ とあるお化け屋敷で

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太った男の人形が壁に寄せて置かれていた。薄汚れた前掛けをした人形は、左手に大きな肉切り包丁を持ち、右手で傍にあるステンレス台を指差していた。台の上には人間のバラバラに切断された手足があった。切断面は筋肉や血管までリアルに造り込まれている。 「兄貴から聞いたんだけど、客が減る一方だから、アメリカのホラーハウスを参考にして、どんどん過激にしていったんだってさ。知ってるか? アメリカのお化け屋敷って、こういうグロな人形を普通に見せてるんだぜ。やっぱ本場はスゲえよな」 人形を目に入れまいと必死にうつむく少年を見て、ヒロが笑った。 「カズヤ、こいつ、もうやばいぜ」 「おまえだって、最初のときは、ここで引き返したいって泣いたじゃないか」 カズヤにからかわれ、ヒロの顔が真っ赤になった。
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