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少し先に左に引き込むような小さな通路が見える。お化け屋敷の客がそちらに行かないよう、「スタッフオンリー」と書かれた小さな看板が置いてあった。コース上に分岐ルートはないが、こういうスタッフの待機所やトイレなどへ向かう通路はたくさんあった。
蜷川を先頭にして、六人は配電盤のある扉に向かった。
五メートルほど引き込んだ場所に、鍵のかかった扉があった。
ポケットから鍵束を出した蜷川は、鍵穴に鍵を差し込んでいく。
「明日は休園日だから、館内の主電源は落とされている。電気を通わせるには電源パネルのブレーカーを上げなくちゃいけないんけど……今夜、僕はブレーカーを上げていない」
かちゃ、と扉が開き、蜷川がペンライトを配電盤に向けた。
「……変だな」
そう言ったきり、蜷川が黙り込んだ。
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