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「扉の下に懐中電灯があるから中を照らしてみろ」
腰を落とし、自販機の下のコインでも探すように闇雲に腕を動かしていると、指先に硬く冷たいものが触れた。細い円筒形の金属を拾い上げた。スイッチを入れると、ぱっと壁に光の輪が浮かび上がった。
左の方に薄汚れたマットがのせられたパイプベッドが置いてあった。
床には新聞紙や空の缶詰、スーパーで生肉を詰めるときに使うポリエチレンのトレーなどのゴミが散乱していた。ほとんどはラップが破れて空っぽだったが、生肉がそのまま残っているものもあった。中身はとうに腐って青紫色に変色している。
これが匂いのもとだったのだろう。だが、そんなことよりも――
誰もいないじゃないか。
少年は明かりを奥へ向けた。反対側にもう一つ扉があった。
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