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蜷川の肩越しに優也は配電盤を覗き込んだ。ペンライトの明かりが電源パネルを照らしていた。スイッチはすべて「オフ」の側に下りていた。
「どうしたの? 何があったの? 蜷川くん」
仁科華のおびえた声が聞こえた。
「それが……このお化け屋敷には今、電気が通ってないようだ」
どこか他人事のような感じで蜷川が言った。
「……どうやら、早くここを出た方が良さそうね」
さやかがぽつり、とつぶやくように口にした。
「いちばん近い非常口はどこ?」
名波茜に訊かれ、蜷川が答えた。
「この先の第三手術室を過ぎたところにある」
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