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* 消えた出口
――これは?
耕太は目を見張った。
いったい何が起こったのか、すぐには理解できなかった。そこにはあるはずの空間がなく、かわりにコンクリートの壁があった。
耕太の手が熱い鉄板に触るように怖々とそれに触れた。硬く冷たい感触がした。張りぼてか何かでできた偽の壁かもしれないと思っていたが本物だった。
「何で? どうなってるの?」
仁科華の声はすでに泣き声になっていた。
第三手術室の先に、引き込み用の通路があり、突き当たりに「EXIT」という表示のある鉄のドアがあった。そのドアの前で、二人は茫然としていた。二人から離れた場所に、少年がぽつん、と立っている。
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