第三章 1:45AM 一般病棟

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 手術室を出て、いちばん近くの非常口にたどり着いた二人は、屋外に出ようとドアを開けた途端、石の壁に行く手を塞がれていた。 「雨宮くん、ねえ、どういうことなの?」  ヒステリックな声で華が言った。 「た、たぶん……この非常口はもう塞がれていたんだよ。使わないからとか、何か理由があって。大丈夫だよ。非常口は他にもあるって蜷川くんが――」  なんとか華を落ち着かせようとしたが、耕太自身が動揺していた。  そのとき、どたばたという足音がして、誰かがやって来る気配がした。 「蜷川くん!」  仁科華が蜷川の姿を見て、安堵と歓喜の入り混じった声を上げる。  後ろには、遅れてスタートした南幹久と名波茜、蜷川と高遠さやか、それに脅かし役の野々村優也がいた。なぜか馬場弘史の姿だけがなかった。
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