第三章 1:45AM 一般病棟

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 スプーン! カレーライスを食べるときに使うやつだ。こんなもので、口裂け女のあの巨大なハサミとどうやって戦えというのだ?  だが、何もないよりはマシだった。それに実のところ、彼は小学生の頃、いじめっこにカッターで手の甲を切られて以来(その傷痕は今も残っている)、刃物全般が苦手だった。スプーンで納得したわけでではないが、渋々それを受け取った。 「あなたの武器は?」  少年が静かに首を振った。 「僕はいいんです。子供の僕が武器を持ったところで、大して役に立ちませんから……。火炎瓶だけ持っておきます」
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