プロローグ とあるお化け屋敷で

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* 少年たち 「ここが死体置き場だ」 カズヤが懐中電灯の明かりを暗闇へ向けた。 小学校の教室ぐらいの部屋には、棺桶のような木箱が右側に五つ、左側に五つ並べられていた。板敷きの床は、埃や汚れで黒ずみ、人の足跡がいくつも残っていた。奥の方で闇がいっそう濃くなっている場所は、館内へ続く通路の入口だろう。 「ガラスの破片なんかも落ちてるから、足下に気をつけろよ」 お化け屋敷の中に入っていくカズヤを、少年は建物の裏口、外から見ていた。 「早く入れよ」 背中を押されて振り返った。小学生横綱のような巨体が視界を塞いでいた。まぶたの肉で潰れたヒロの細い目に睨みつけられ、少年はすくみ上がった。
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