プロローグ とあるお化け屋敷で

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クラスメイトのハルコが飼っていた柴犬が逃げたことは少年も知っていた。近所の電柱に「この犬を探しています」という張り紙がしてあった。たしか犬の名前はコゴロー。一人っ子のハルコは、その犬をたいそう可愛がっていて、しばらくはショックで学校を休んだほどだ。 カズヤがどこか楽しげに続けた。 「床に骨が落ちているだろ。それ、ハルコの犬さ。餌にしたんだ」 少年は震える手で懐中電灯を向けた。 面長の動物の骨は犬の頭蓋骨に見えなくもなかった。ぽっかりと空いた黒い眼窩がこちらを向いている。今まで気づかなかったが、傍に赤い皮の首輪が落ちていた。「KOGORO」というローマ字が読み取れた。
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