第三章 1:45AM 一般病棟

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 通路の入口に立った耕太は緊張をほぐすように息を吐いた。最初の肝試しでは、腰を抜かしても、恥をかきこそすれ死ぬことはなかった。  今度の肝試しは違う。怯えたら死ぬ。命をかけたお化け屋敷へのチャレンジだ。  さやかを先頭に三人は通路へ進んだ。最初の角を曲がるとき、耕太は後ろを振り返った。蜷川たちがじっとこちらを見送っていた。三時間前は、出発するペアに向かって手を振る者もいた。今は誰もが、霊柩車を見送る参列者のような顔をしていた。しかし、角を曲がると、それも見えなくなった。
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