第四章 2:30AM 第四手術室

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「普通に歩いてください。呼吸が乱れると見つかりやすくなります」  普通? 普通に歩くって何だよ?   前を歩いていたさやかが手を差し出した。 「ほら、握って」  わけもわからず手を握り返した。 「怖いものは怖いんだからしようがないわよ。こんな状況で、男なんだからしっかりしろなんて言わないわ。あたしだって怖いもの。だから、あんたが今もってる、ありったけの勇気でがんばってみてよ、ね?」  耕太の目に涙が滲んだ。ありがとう、さやか。仁科さんとの肝試しデートを段取りしてくれたり、みんなが臆病な僕を見捨てたとき、パートナーに名乗りを上げてくれたり……君って本当にいいやつだ。
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