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「そろそろ、絞首刑場よ」
さやかが通路に立ち止まり、館内図を広げた。この先の角を曲がると、「絞首刑場」という部屋がある。なんで病院に死刑場があるのか分からないが、ホラーハウスなんて、ようは怖ければいい「ごった煮」が基本だ。
角からそっと顔を出し、様子をうかがった。
十メートルほどの通路、その左側の壁に、囚人服を着た人間たちがぶら下がっている。一つ、二つ、三つ……十体はあるのではないか。首に太い縄を食い込ませ、肉屋の冷凍庫よろしく吊り下げられている。だが、そんなことよりも――。
動いている!
床からたっぷり一メートル、宙に浮いた人形の足が、自転車のペダルをこぐように上下し、後ろ手に縛られた体をもぞもぞとくねらせている。
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