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ごめんなあ、とカズヤが申し訳なさそうに言った。
「だってお前がクラスでいちばん〝餌〟っぽかったからさ」
そのとき、かさ、という小さな音が暗闇の中でした。
少年はとっさに明かりを音のした方へ向けた。ゴミ山の上にあった白いトレーが落ちていた。ベッド下の濃い闇の中に黄色い光が見えた。ぼさぼさの髪の毛の間から人間の眼のようなものがのぞいている。
動いてる?
ずぼっと、突然、ゴミ山の中から二本の腕が飛び出した。
「ひいっ」
少年は驚いて一歩下がった。背中に鉄のドアが当たる感触がした。
黒こげの両腕に引っ張られるように胴体が出てきた。〝それ〟には腰から下がなかった。さながら地雷で下半身を吹き飛ばされた人間だった。上半身だけの胴体が、腕の力で這っている。
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