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少年がかがみ込み、ドア下の食器の取り入れ口から叫んだ。
「助けて、殺される!」
狭い取り入れ口に挟まった少年の頬を、カズヤの手が優しく撫でた。
「食べられるときはおとなしくしてるんだぞ。その方が苦しまないで済むから」
「カズヤ、助け……ひっ」
足首を掴まれる気配がした。
振り返った。すぐ目の前に黒ずんだ人間の顔があった。ぼさぼさの髪の間からのぞく、落ち窪んだ双眸と黄色いビー玉のような眼。顔には、唇の端から耳にかけてみみず腫れのような痕が走っていた。
「そうそう、言い忘れていたけど――」
カズヤが思い出したように言った。
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