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テーブルに座る五人の若い男女は、みな一様に押し黙っていた。
蜷川は自らの興奮を鎮めるように、まだ開封されていない缶ビールをテーブルから取り、プルトップを引いて勢いよく呷った。ごくごくという音に合わせて喉仏が大きく動く。カンという小気味いい音をさせて、空き缶をテーブルに置く。
口の周りに付いた泡を手の甲で拭い、蜷川はテーブルを見渡した。
「どうだった? 僕の怖い話は」
顔を逸らした雨宮耕太の左隣では、高遠さやかが形のいい眉を寄せ、難しそうな顔でしきりに手を動かしている。テーブルの上に目をやると、割り箸の空き袋で作ったこよりがいくつも並んでいた。
向かいの席では名波茜がテーブルに肘をつき、両手で頬を挟んでいた。唇をすぼませ、くりくりとした愛らしい目を瞬かせている。両肘に押し出され、体が小柄な割には大きな膨らみが突き出していた。
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