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「おい、ノーコメントかい? 誰か感想を聞かせてくれよ」
視線を感じて耕太は顔を上げた。
蜷川がじっと自分を見ていた。まずい。すぐに顔を背けた。しかし、タイミング良くというべきか、隣で、ふわあ、と大きなあくびの音がして蜷川の目が動いた。高遠さやかが口を手で覆っている。
「高遠はけっこう怖がっていたみたいだね」
「え? 別に……」
蜷川がふっ、と笑い、柔らかそうな前髪を優雅にかき上げた。
「怖かったのなら素直に怖かったと言えばいいんだよ。君は女の子なんだから、怖い話が苦手でもぜんぜん変じゃない。おまけに僕がした話はとびきり怖いときている」
「なんで学食で何度も聞かされた話を怖がらなくちゃいけないのよ」
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