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さやかが、問題はそこよ、と口を挟んだ。
「あんた、一〇〇〇個もレパートリーがあるんだったら、たまには違う話をしなさいよ。いつも『お化け屋敷の赤いペット』か『洋館の赤いタペストリー』のどっちかじゃない」
「『給食室の赤いにぎりめし』だってある!」
力説する蜷川をさやかが一笑に付した。
「赤いタペストリーも赤いにぎりめしも、実はそのにぎりめしが真っ赤だった、とか、そのタペストリーは血で染まっていた、とか、そんなオチばっかじゃない。さっきのお化け屋敷の話しかり。だいたい話の中身がワンパターンで、ぜんっぜん怖くないのよ」
蜷川のこめかみがぴくっと動いた。
「怖くない、だって?」
さやかが気押されたように顎を引いた。蜷川がにらみつけるように迫る。
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