第一章 11:00PM 城岩ドリームランド

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 さやかが、問題はそこよ、と口を挟んだ。 「あんた、一〇〇〇個もレパートリーがあるんだったら、たまには違う話をしなさいよ。いつも『お化け屋敷の赤いペット』か『洋館の赤いタペストリー』のどっちかじゃない」 「『給食室の赤いにぎりめし』だってある!」  力説する蜷川をさやかが一笑に付した。 「赤いタペストリーも赤いにぎりめしも、実はそのにぎりめしが真っ赤だった、とか、そのタペストリーは血で染まっていた、とか、そんなオチばっかじゃない。さっきのお化け屋敷の話しかり。だいたい話の中身がワンパターンで、ぜんっぜん怖くないのよ」  蜷川のこめかみがぴくっと動いた。 「怖くない、だって?」  さやかが気押されたように顎を引いた。蜷川がにらみつけるように迫る。
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