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「二人とも落ち着いてよ」
仲裁に割って入った耕太を、蜷川が睨みつけた。
「雨宮、お前は僕の怖い話を聞いてどう思ったんだ?」
突然、矛先を向けられて耕太は焦った。
「え? いや、その……怖かった、よ」
あいまいにしか答えられない理由があった。この手の話が苦手な耕太は、蜷川が話をしている間中、隠れて耳を塞いでいた。少年たちがお化け屋敷に入ったあたりまでは覚えているが、そこから先はさっぱりわからない。感想なんて言えるわけがない。
「どこが怖かった?」
蜷川がグイグイ迫ってくる。こと怖い話になると、蜷川も妥協しない。
「どこって言われても……そ、そうだ。蜷川君の話し方、すごく迫力があったよ」
ぷっとさやかが吹き出した。それで、テーブルに笑いの波が広がった。
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