第二章 12:00AM 肝試しスタート

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* 裏口  お化け屋敷の「出口」は業者の搬入口を思わせる、いたって簡素な造りだった。扉から敷地の外へ向かって縁石の並べられた小径が伸び、それを見てようやく裏口だとわかったほどだ。  蜷川が扉の鍵を開け、両開きのドアを外へ向かって開いた。  ペンライトを闇に向けると、だだっぴろい空間が広がっていた。板敷きの床に棺桶のような箱が左右に四つずつ並べられている。蜷川の怖い話に出てきた「死体置き場」とまったく同じ造りだった。 「この箱の中に脅かし役のスタッフが隠れていて、お客さんが来たら飛び出すんだ。悲鳴をあげて裏口から外へ逃げ出てくる人を見て、外にいる人はこのお化け屋敷はよっぽど怖いのだろう、と思い込む。で、また新しいお客さんがやって来るという仕組みさ」
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