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その後も体が三倍ぐらいに膨らんだ水死体、戸板の上に並べられた落ち武者のさらし首、ボクシングのファイティングポーズ姿で硬直した焼死体などが三人を出迎えた。お化け屋敷というよりグロテスクな死体博物館のようだった。カズヤはその一つ一つでいちいち立ち止まり、解説を加えていった。
暗闇の中を、気が遠くなるほど歩いた気がした。
「着いたぞ」
カズヤの声で少年は顔を上げた。
幅の狭い通路がまっすぐ前へ伸びていた。ぴちゃん、ぴちゃん、と水の音がする。床が濡れていた。天井を見上げると、コンクリートの割れ目から水滴が垂れていた。配管が腐食しているのかもしれない。湿気のせいで空気がひんやりしている。
「あそこに扉が見えるだろ」
カズヤが明かりを伸ばした。十五メートルほど先に赤茶色の鉄扉が見えた。
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