いったい何が…?

2/12
前へ
/14ページ
次へ
  森本和夫が、その店を見つけたのは、梅雨らしい、どんより曇った夜…… へこんだ心を元に戻そうと、付近をぶらぶらしていた時だった。 八丁目の裏に、ちょっとした通りを見付けた。 入り口には、特に何も書いてなかった。 道幅は、2人ほどしか通れない感じだったが、なかなか雰囲気がありそうだった。 スマホを使って地図検索してみたが、そんな通りは出てなかった。 彼は、「ま、いいか……」と、何やらウキウキ気分で歩いていった。 「店っぽいのは何軒かあるけど……みんな閉まってるな……」 その通りの中程に―― 『ほんやら堂』 ――という、地味で古ぼけた店があった。 中は、ほのかな灯りがあるのだが、店員の姿はなかった。 「入って声をかければ、出てくるかも……」 と、戸を開けて入っていった。  
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加