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「ちょっと待ってください。靴を脱がないと……」
「大丈夫です。そのままで、どうぞ」
森本は、そのまま板廊下を、女将の案内で歩いていった。
さっきの楽しそうな声や音楽は、いつのまにか消えていた。
「あの……楽しそうな声が……」
「はい、あれは過去で、お客様は、こちらで御座います」
「はぁ……過去……ですか……」
かなり長い廊下を歩いていた女将が、立ち止まった。
そこには階段があり、上の階か下の階に行けるのだが……。
どちらの階も、不気味に静まりかえっていた。
女将は振り向くと、ニッコリ笑って、
「さー、どちらに、お行きになりたいでしょう?」
体を、すっと横に移動させた。
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