プラチナ・ナイト

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そう言って、 「ねえ、由美ちゃん、ちゃんと遊んでる?」 私は、この日、三回目のえ?を言った。 「あなた、いくつ?」 「三十一です。」 「男はいる?」 (なんて単刀直入な・・・) 「今は、仕事が忙しくて。」 私は言い訳した。仕事が忙しいのは事実だけれど、男がいないのが忙しさのせいでは無いことぐらいわかっている。余裕が無い、出会いが無い、全部言い訳だ。要するに怠けているのだ。男が欲しいくせに、そのための努力をしない。出会いは待っていてもやって来ない、本物の恋は探すものじゃなくて運命がちゃんと運んでくるなどと信じるのはドラマの中の話、三十路を過ぎた女の生きる現実は、自分が動かねば放置される。事実、婚活のために限られた時間を使ってワインセミナーやら、語学教室だとかに足繁く通い、最近、趣味や知的探求心の一致する相手をゲットした同僚がいる。 「だと思った。由美ちゃんって言ったっけ、あなた色気無いもの。ここんとこ男に愛撫されて無いでしょ。」 私は四回目のえ?を発した。佳子さんは私を爪先から頭のてっぺんまで視線を這わせ、 「私があなたくらいの歳の頃は、一日三人の男に抱かれたことだってあるわ。そういう時期ってあるのよ。」 (有り得ない) 「あなた、そのままじゃ身体が可愛そうよ。あなたが頭でどう思おうと、女の身体はご主人様にお預けされたまま、忘れ去られた忠犬みたいに途方にくれて餓死しちゃうわ。」 (餓死って・・・) 「佳子ちゃん、虐めるのはそれくらいにしてくれよ。雑誌に載ることが何よりの勲章だと思ってるワイフに叱られるよ。」 「あら、トロフィーワイフを選んだのは岡部くんの方でしょう、仮面夫婦のくせして。」 (辛辣!)  岡部さんは気にする様子も無いようで、人聞きの悪いことを言わないでくれと言いながらも笑っている。 「私だってバージンよ。」 え?五回目だ。私は声の主を振り返った。私たちのテーブルの隣の席で女性三人で飲んでいたグループのひとり、セミロングの髪、白いパンツスーツを着た女性がこちらを見て微笑んだ。人目を惹く美人では無いけれど、丸い目をした、チャーミングな女性だ。私が会釈をすると立ち上がり、私の席まで歩いて来た。
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