金色

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何事もなく一年が過ぎ、そろそろ曖昧にでも進路を考え始めなければならない二年生の春。それでも遊びを優先したい高校生の私達は、今日は新クラスの親睦会という名目で、参加できる人は全員近くのカラオケ店に集まっていた。 はっきり言って大人数で集まる事が好きじゃない私は、去年も同じクラスだった望月真奈と一緒に、一番隅のソファーでなるべく目立たないように、時間が過ぎるのを待っていた。 人前で歌うのも好きじゃないし、本心は今すぐ帰りたい。 盛り上がる部屋の中で、どんどん冷めていく私に気づき、真奈はそんなに嫌なら適当に断ればよかったのにと、スマホをいじりながら言う。 「せっかくクラスで集まるって言ってんのに、嘘ついて来ないの悪いじゃん」 「ほんとそういうとこ真面目だよね~。灯果のいいとこだけどさ。頭痛くなったらすぐ言いなよ?」 頭痛持ちの私を気にしてくれる真奈にありがとうと呟きながら、実はすでに痛い頭を押さえる。隠れて薬も飲んだし、あとは効いてくるのを待つだけだけど、大音量で音楽が流れるカラオケ店ではそれも難しそうだ。 「ちょっとドリンク取ってくるね」 「一人で大丈夫?」 「平気。すぐそこだし」 少しでもこの空間から離れたくて、そそくさと部屋の外へ出てほっと息をつく。 楽しい事は嫌いじゃないけど、やっぱりこういうのは苦手だ。 外の風に当たりたくて、ドリンクバーを通りすぎて階下の出入り口に向かう。少しずつ昼間は暖かくなってきたけど、夜の空気はまだ冷たい。 ひんやりとした風が頬を撫でるのを気持ちよく感じながら、少し薬が効いてきたかもと安堵したその時、入り口の向こうからあれっと声がした。
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