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「ふざけるな!俺は酒をたのんでるんだ!
こんなもの、見たくもない!」
そう言ってお客は小瓶を手で払った。
カウンターから空中に放り出された小瓶は、そのまま地面に落ちて、派手な音をたてながら割れた。
そこで、怒っていたお客も少し冷静になったようで、小さな声で
「すみません」
と謝った。
その謝罪を受け取ったのかどうか、マスターは無言のまま割れた小瓶を片付け、飛び散った液体を雑巾で拭き取ると、再びカウンターの中に戻り、お客の前に立った。
「嫌な事でもあったか?」
相変わらずの無愛想な顔ながら、その声には僅かな優しさが感じられる。
お客もそれを感じたのだろうか。
少しずつ話し始めた。
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