第1章

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マスターは再びお客に栄養ドリンクを差し出した。 「あの、すみません、これは……」 先程のように怒ることはないものの、またそれを拒否しようとするお客。 そんなお客の手に、マスターは無理やり栄養ドリンクの小瓶を握らせる。 「持っていけ。 お代はいいから、とっとと行くべきとこに行きな!」 そして、そのまま店の外へと追い出し、カランカランと音をたてて扉が閉まると、そこにはボクとマスターの二人っきり。 あーあー、全く、せっかくのお客に何やってんだか。 追い出したばかりか、代金すら取りそこねちゃってさ。 このままじゃ、ボクのご飯だって食べられなくなっちゃわない? そんな抗議の声を出せば、マスターは無愛想な顔のまま振り返った。 「いいじゃねえか、この店はこれでよ。 客に渇入れられる店なんてそうそうないんだからよ」
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