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「僕のこと…、嫌い?(ドキドキしてる…)」
突然、ハルの後ろから声がした。
「何の話だ(突然、何言ってる?…)」
「だって(ニブチン…)…」
「どこ向いて、話してる。そっちは壁だ(どうしたんだ?)」
壁に頭をつけ、下を向いたままでハルの方を向こうともしない。
セラは、何か…確実に不満なのだ。
「どこ向いて話しても(ホントにもう…)、僕の勝手でしょ!」
「そうか…、なら存分に話せ(コイツ…さっきから何だ?)」
自己中なハルに、他人の気持ちを思いやれと、言う方が無理な話だ。
「もう…ハルの馬鹿(何言ってるの、僕?)!」
「私は、馬鹿でない。なに言ってる(あれか?)」
ハルに馬鹿と言っても何も通じない・・・
「だって…、だって、だって(涙、出そう…)…」
「同じ言葉並べても、意味がわからん(欲求不満か?)」
セラよ…、はっきりと話した方が、いいと思うだが…
「ハ…ル…、ハルは鈍感だ(期待してた僕が悪いんだ…)。
ぼ、僕の気持ちなんて、知らないくせに…」
「気持ちがどうした?占ってほしいのか(今更、何を…)?」
「ハル、僕のことどう思う(ホントに忘れてる…の?)…」
「セラのこと?一生懸命に私の世話をしてくれる…
見習い呪い師(何が、言いたいだ…)」
「だよね。そうだよね(コイツは、そういう奴だった)。
僕は、あれこれしてる、ただの働き蜂なんだ(あれほど約束してたのに、お土産期待した僕が馬鹿だった…)…」
超マイペースなハルには、はっきりと物事を言わないと約束も、どこかに落としてくる。
今回も…普通の恋人関係をハルに求めたのは、無駄な努力だったとセラは理解した。
「セラ…愛してる…」
「ハ…ル(なに?)…」
突然、ハルの大きな手が…壁に頭をつけたままのセラの背中から、細い身体を抱きしめた。
「セラ…これからも一緒だ(可愛い…)…」
「僕で、いいの(突然、どうしたの?)?」
「あぁ…セラじゃなきゃ、ダメだ(本当に私は、セラの涙によわい…)…」
「ホントに(ハル…)?」
「何度も言わせるな。私にはセラしかいない(これで、土産の件は無しだな)…」
完全に、セラとお土産の約束をしていた事を、思い出したハル…
それをもみ消そうと、甘い言葉を耳元で囁いた。
敏感なセラの耳に、ハルの低い声が響く…
それだけで…身体中の血が沸騰したみたいに、熱くなっていく…
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