酒の席

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飲み会大好き。 酔っても受け答えは、とってもまとも。 楽しく陽気にきちんとした会話をこなすのに、酔いがさめた時には全ての記憶が吹っ飛んでいて、ノミニケーションが全く役に立たない上司。 酔いを知る手立ては、人を叩く際の力加減の無さ。 その事実を知る人達は、酔いが回ったと悟るや否や、クッション性の少ない頭頂部を遠慮なくぶっ叩く。 どうせ忘れているから。 送迎役を仰せ付けられ、一人アルコールを含めなかったら、上司を送り届けた先で腹いせ。 「ごめんねえ、家の人酔っちゃって。遠慮なく叩いて起こしてくれていいから」 上司の奥さんが仰る言葉を額面通りに受け取り、ニコニコと助手席に乗せて来た、眠っている上司のクッション性の乏しい頭頂部をペチペチと連打する。 己の手の平が痛くなるまで。 「起きて下さいよ、家に着きましたよ」 よろよろ歩くのに肩を貸して、御自宅の玄関まで運んだらそこに転がしてさようなら。 奥さんも慣れたもので、後は毛布でも掛けてそのまま寝かしておくからと手を振ってくれる。 そして翌朝は、酔ってからの記憶が無い上司がけろっと出て来て。 「刺激を与えれば生えて来るでしょ」 なあんて言葉を掛けて、頭頂部を叩いていた女性社員とも普通に何時もの御挨拶。 でもまあ、綺麗に忘れているから後腐れも無かったそうですが。 むしろ問題は、飲み会でのコミュニケーションがきちんと図れない事。 だって、記憶が飛んじゃうんだもん。 アルコールの勢い借りて相談したい問題が有っても役立たず。 普段が真面目で良い人なだけに、微妙に付き合い難かったそうです、この上司。
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