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「はーい。現在此方はアメリカ、ワシントン州に来ております。光景はほぼ同じと思われます。疑われる方も居ますでしょうが、現実です。我々だけでは検討もできないので、専門家に伺いました。」
「こ、これはですね、何かの突然変異と思われます。はい。なんせ前例がないもので……!」
今は冬だ。暑くもないのに、脂汗を大量にかきながらも舌ったらずで話す専門家と呼ばれる禿げのおっさんが写っている。
突然変異って生まれた時に決まるものではないのか?後天性の突然変異なんて聞いたことがない。
「さっき、都内でアンケート調査したのですが変異し、した人々は痛みを感じた様です。気づきましたで、でしょうか?痛みが長いほど変化が大きいことに。調査では最長で30分でした」
私はテレビを切った。これを見て居てもほとんど何も得られないだろう。実際に見た方がいい。
そう思って、思い切ってカーテンを開けた。そして、閉めるーーー。
私は何も見なかった。そう思いたい。何故かーーーー。
普通、天使の様な羽を持つのは無意識でも少女というイメージが強いだろう。それが、如何だろうか。禿げのおっさんだったら…。
なんの得にもならない。誰得?状態だ。むしろ吐き気さえも催してくる。変化に何も思わなかったのだろうか。飛びながらスーツを着て出勤する様子もなかなかシュールだ。
ピロンーーーー。
テレビを消した静かな部屋にメッセージが届く音が響いた。開くと、奈津と書いてある。返信しようとすると電話がきた。
「なに?」
「テレビ見た?それでね、しばらく成月の家に泊まっていいかな。」
「いいよ。好きな時に来ていいからね。来たら現状おしえてね。」
「うん分かった。」
奈津の声が聞こえ、電話を切った。奈津は親を亡くし16歳にして1人暮らしだ。変わったこの世の中で心に秘める不安は計り知れないだろう。
奈津が来る前に、身支度を整えるために洗面所へと足を運んだ。
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