Chapter1、ようこそ

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 …――都内某所にある彩椎(さいしい)薬局。  如何にもな不思議なお店。店構えからして怪しい。鉄製の看板に大きく青いペンキで『彩椎薬局』と書かれた文字は長い年月を経て剥げかかっている。もちろん看板自体も風雨にさらされ続け錆び付いている。建屋も木造でトタンを打ち付けただけの今にも崩れそうなものだ。小さな台風でも直撃したら吹っ飛んでしまいそうだ。  そんな薬局。  無論、取り扱う商品も普通ではなくこの世のものとは思えない不可思議な薬ばかり。性別を転換する薬であったり、自分の力を限界まで引き出すチート化な薬であったり、不可思議な薬の例をあげれば枚挙にいとまがない。  店主は雲明(うんめい)ノルンというお爺ちゃんが一人。  店員はいない。  彼はとてもファンキーで、白髪九割の中に数束の黒髪を立ててオールバックにしている。ヴィトンのキャッツアイサングラス(※世界でも限定千個しか作ってないもの)をかけ、顎のラインと鼻下から顎にかけて白ひげを生やしている。もちろん肌は小麦色でとても健康そうな印象を受ける。背も高くスラッとした長身でパイプを吹かしている。  お洒落なお爺ちゃん。
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